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【インタビュー後編】こんな場所でも大活躍!実例から分かるNessumならではの強みを徹底解説

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【インタビュー後編】こんな場所でも大活躍!実例から分かるNessumならではの強みを徹底解説

Wi-FiやBluetoothなどの通信技術が急速に普及しつつある現代のIoT社会。そのIoT社会の「スキマ」を埋めると言われる、新しい通信技術「Nessum」。本記事を通して、IoT社会の「スキマ」とは何なのか、Nessumという技術の核心はどこにあるのか、そしてNessumが社会をどう変えていくのか、Nessumアライアンスの副会長・松尾さんにお話をお聞きしました。


Nessum WIRE / AIR とはどんな技術なのか?

──Nessumができた経緯について前回お聞きしました。次は、Nessumがどんな場面で使われるのか教えてください。

NessumにはWIREとAIRの2種類があります。まずはNessum WIREについてです。Nessum WIREは主に建物内の有線通信で用いられており、既設の配線をそのまま活用して通信線として使えるようにできる、というユニークな特徴があります。そもそも有線の通信としては、従来はLANケーブル (イーサネット) などが安定した通信を得られることで有名ですよね。しかし、実はLANケーブルは最大通信距離が100mと決まっていて、工場や中大規模のビルなど100mを超えるものになると、LANケーブルを繋ぎ合わせるためのハブと呼ばれる中継機器の設置が必要になります。さらに、オフィス空間などではLANケーブルを床下とか天井裏に配線することが多く、施工には手間がかかります。このようにイーサネットは長距離で大がかりな工事にはどうしても不利な側面がありました。
一方、Nessum WIREでは電力線や専用線といった、建物に必ず備わっている配線をそのまま活用することができるため、そのようなコストを低く抑えられます。例えば皆さんの身近にあるコンセントを想像してみるといいかもしれません。差し込み口の先には電気を送るための電力線がすでに配線されているのですが、これがLANケーブルの代わりを果たせるとしたらどうでしょうか。壁の裏で新たに配線する必要もなく、コンセントを介して容易にネットワークを構築することができるのです。



──新しい線を引き回すことなく、配線コストを抑えてネットワークを構築できるのはとても便利ですね。次にNessum AIRについても教えていただけますか。

Nessum AIRは無線通信の一種になります。一言で言うと、「近い距離にのみ届ける、方向性を持った無線」のようなイメージで、およそ1メートル以内の距離を最大100Mbpsの速度で高速通信します。通常の無線はなるべく遠くまで広範囲に飛んでほしいというイメージがあるかもしれませんが、Nessum AIRは逆に短距離・限定範囲でしか飛ばない無線で、その代わりスピードが非常に速いという特徴があります。
それがどんな役に立つのか疑問に感じる方も多いと思いますが、Nesssum AIRがピッタリな場面が実はいくつもあります。例えば電動モビリティの給電スポットといった、通信機器を並列にいくつも設置するような場面です。Wi-FiやBluetoothといった無線は広範囲なので、隣り合うところで干渉しお互いに影響を及ぼしてしまうことがあります。他方でNessum AIRは近距離かつ、隣り合う機器で異なる周波数の電波を使用することによって、それぞれの機器が発する電波の干渉を防ぐことができるのです。

※100Mbps...1秒間に100メガビット(= 1億ビット)のデータを送受信できる通信速度という意味で、フルHD動画(高画質動画)をスムーズにストリーミングできるくらいのイメージ



あらゆる業界に潜んでいる、Nessumの活用可能性

──Nessumの具体的な活用事例を教えてもらえますか。

皆さんがイメージしやすい例としては、監視カメラのリニューアルの事例があるかと思います。
最近ではマンションや学校など色々なところに監視カメラが設置されるようになりましたが、世の中には画質の粗いアナログの監視カメラがまだたくさんあって、これらをもっと高画質なIP通信のカメラに置き換えたいというお客様のニーズがあります。ところがアナログの場合はもともと使っていた古いケーブルが地中や屋外に配線されているため、これらをすべて LANケーブルに置き換えるためには、地中を掘り返すといった大規模な工事が必要になってしまいます。そこで、Nessumの技術が入ったアダプターを古いケーブルの両端に置いて、通信機器とカメラをそれぞれ接続したところ、地中の配線を一切触ることなく、IP通信対応のカメラへの置き換えを実現できました。このようにNessumの技術は既存のインフラをうまく生かした負担の少ない手法でネットワーク構築を実現できるため、トータルで必要なコストを大幅に抑えることが可能になるのです。

※IP通信...「Internet Protocol(インターネットプロトコル)」を略したもので、インターネットやIoTの基盤として使われる通信。他の通信と比較して広範な用途に柔軟に使用できるため、近年利用が広がっている

Case-study_Surveillance-Camera.png

別の事例を挙げるとすれば、遮蔽空間や地下など、なかなかWi-Fiがつながりにくいような場所でのネットワーク構築があります。アクセスポイントのひとつ隣の部屋ですらWi-Fiの電波が届かない、というほどに無線の環境が悪く、その上困ったことに、LANケーブルを通す穴が壁に無いため新たなアクセスポイントを増設できないという状況でした。ところがどの部屋にも電力線は配線されていたので、先述した通りコンセントの配線を利用してNessumの機器を導入しました。そうすると部屋を超えた通信が可能となり、今まで無線が届かなかった部屋でもスマホやタブレットが使えるようになりました。

Case-study_WiFi-AP.png

今回上げた事例のほかにも、トンネル内の工事現場や船舶の中、あるいは工場の金属が多くて通信が繋がりづらい場所など、業界を問わずに多くの場所でネット環境の構築に役立っています。
その他にも、低速有線通信の高速化や、高いセキュリティ性能、省線化など、Nessumの持っている強みはいくつかあり、それぞれ強みを活かした多様な使われ方がなされています。ユニークな通信技術であるNessumをどう使いこなすか、工夫次第で可能性はまだまだ広がると思っています。



──Nessumがもつ様々な強みが分かってきました。導入していく上でお客様から懸念を抱かれることはないのでしょうか。また、品質の部分で安定した通信はできているのでしょうか。

確かに、電力線や専用線など別の用途で使われていた線に通信ための信号を載せることに対して、特に電力線の環境において、お客様から他の機器への影響やセキュリティなどについてよく聞かれることがあります。しかしこれまで500万台以上Nessumを出荷してきて、多くの家電や精密機器などへの影響を調べてきた中では、誤動作やセキュリティ上問題になるような事例はありませんでした。法律的にもこのくらいの出力であれば良いというところをきちんと定義していて、それに従った信号レベルの範囲内で通信をしています。
また通信の品質に関しては既存のイーサネットなどには劣るものの、これまで述べてきたような用途で使うのに問題はそれほど大きくはないと考えています。最近では少しでも品質を向上させるための先進的な工夫も行っていて、Nessumが使用する周波数帯域の中で、信号の通りやすい帯域にエネルギーを集中し、通信の長距離化・安定化を実現する、などという技術も導入されています。



Nessumが実現する未来とは

──最後に、Nessumによって何を実現したいですか?これからの方向性、ビジョンを教えてください。

IoT社会の実現、というとすごくスケールの大きな話になってしまいますが、これだけ労働力が減っていく中で省人化とかDX化といった色々な取り組みがなされていて、それを土台から支えるものとしてネットワークの重要性はこれからも高まっていくと思います。実際、2030年ごろには一人あたりの周りには1000台ぐらいのIoTデバイスがつながるという予測もあるそうです。しかしながら、Wi-Fiやイーサネットなどの主流の通信だけで全てが解決するわけではありません。先ほどの監視カメラの例のように、LANケーブルを敷設するコストが高すぎて高画質のカメラに置き換えるのが難しいなど、現場を見ていくとこれらの技術だけではカバーできない領域がいくらでもあるのです。
IoT化が加速度的に進んでいる分野と、まだまだ進んでいない分野の両方が混在している現代ですが、そんな中で我々のNessumの技術は、どちらかというと今まで十分にIoT化できなかったところで大いにお役立ちできるのではと思っています。この社会にはまだまだIoT化したいけどできていないという「スキマ」が沢山ありますので、そこをNessumの技術で、我々が貢献できればいいなと思っております。





Profile


松尾浩太郞(まつお・こうたろう)
大分市出身。2007年にパナソニックコミュニケーションズ(株)に入社し、電力線通信、どこでもドアホンなどのソフト開発に従事。2020年よりパナソニックホールディングス(株)にて、あらゆるモノがネットワークにつながるIoT社会を実現すべく、国際標準規格 IEEE 1901準拠の通信技術Nessum(ネッサム)の普及および事業化を担当。2023年より同技術のグローバルな普及/規格化/互換認証を行う団体「Nessumアライアンス」の副会長も務める。


森原正希(もりはら・まさき)
東京生まれ、早稲田大学建築学科卒。大学在学中には国際的なNPO法人での活動やXRスタートアップ、建築設計事務所など建築を起点に領域横断する活動経験を経て、建築都市分野にアントレプレナーシップを育む一般社団法人ASIBAを共同創業。また早稲田大学にて研究業務を担当。WIRED Creative Hack Award 特別賞、グッドデザインニューホープ賞、緑の環境プラン大賞などのクリエイティブアワード等を受賞。


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