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Nessumの技術概要

1. Nessumの主な技術仕様と機能

Nessumは、有線・無線や水中などさまざまな通信媒体(Any Media)において、長距離有線通信や近距離高速無線通信を可能とする技術です。このような環境で安定・高速な通信を可能とするための多くの機能を備えており、主な技術仕様と機能を表1に示しています。各機能の概要については後述しており、チャネルについては最新技術のページに記載しています。

また、参考として旧HD-PLC(第1世代~第4世代)の技術仕様と機能を表2に示しています。
無線(Nessum AIR)への対応および低周波数帯域への拡張が、Nessumにおける大きな進化になります。

表1. Nessumの主な技術仕様と機能

※左右にフリックしてご覧いただけます。
技術名称 Nessum  
Nessum WIRE Nessum AIR
伝送媒体 専用線
(信号線・同軸線など)
電力線 無線
(空中・水中・海中)
使用帯域(注1) 0.06 ~ 122 [MHz] 2 ~ 100 [MHz] 0.06 ~ 122 [MHz]
最大PHY速度(注2) 1 [Gbps]
(4倍モード)
1 [Gbps]
(4倍モード)
1 [Gbps]
(4倍モード)
特徴・機能(注3) 最大接続台数
 - Complete:128台
 - Multi-hop:1024台
最大ホップ数
 - Complete:1ホップ
 - Multi-hop:10ホップ
チャネル
 - x-1~x-27
32PAM対応
誤り訂正機能
パケット衝突回避機能(DVTP)
最大接続台数
 - Complete:128台
 - Multi-hop:1024台
最大ホップ数
 - Complete:1ホップ
 - Multi-hop:10ホップ
チャネル
 - x-1~x-27
32PAM対応
誤り訂正機能
パケット衝突回避機能(DVTP)
動的ノッチ機能(CENELEC)
最大接続台数
 - Complete:128台
 - Multi-hop:1024台
最大ホップ数
 - Complete:1ホップ
 - Multi-hop:10ホップ
チャネル
 - x-1~x-27
32PAM対応
誤り訂正機能
パケット衝突回避機能(DVTP)
対応規格 IEEE 1901-2020
IEEE P1901c Draft v1.0(注4)
ITU-T G.9905
IEEE 1901-2020
IEEE P1901c Draft v1.0(注4)
ITU-T G.9905
IEEE P1901c Draft v1.0(注4)
ITU-T G.9905

注1:通信時の帯域は、使用するチャネルにより異なります。
注2:実際の速度は、伝送路環境、使用するチャネル、アンテナの仕様(無線利用時)などにより変わります。
注3:対応する機能は製品により異なります。
注4:2023年8月にIEEE P1901c WGにより承認。(URL : https://sagroups.ieee.org/1901/news/)

[参考] 表2. HD-PLC(旧称)の技術進化と特徴

※左右にフリックしてご覧いただけます。
名称 第1世代 第2世代 第3世代 第4世代
HD-PLC HD-PLC HD-PLC3 HD-PLC4
使用帯域 4 ~ 28 [MHz] 2 ~ 28 [MHz] 2 ~ 28 [MHz]
(電力線/専用線)
2 ~ 100 [MHz]
(電力線)
0.48 ~ 122 [MHz]
(専用線)
最大PHY速度 190 [Mbps] 210 [Mbps] 240 [Mbps] 1 [Gbps]
(4倍モード)
特徴・機能 イーサネットI/F
簡単親子設定
簡易速度表示
最大接続台数:16台
パケット衝突回避機能
(DVTP)
最大接続台数
 - Complete:128台
 - Multi-hop:1024台
最大ホップ数

 - Complete:1ホップ
 - Multi-hop:10ホップ
32PAM対応
誤り訂正機能
パケット衝突回避機能

動的ノッチ機能
(CENELEC)
最大接続台数
 - Complete:128台
 - Multi-hop:1024台
最大ホップ数
 - Complete:1ホップ
 - Multi-hop:10ホップ
チャネル
 - x-1~x-15
32PAM対応

誤り訂正機能
パケット衝突回避機能
動的ノッチ機能
(CENELEC)
対応規格 等 国内初 200Mbpsクラス
宅内用アダプター
IEEE 1901-2020
ITU-T G.9905
IEEE 1901-2020
IEEE 1901a

ITU-T G.9905

2. NessumのPHY層について

Wavelet OFDM方式を採用

NessumではPHY層の通信方式として、Wavelet OFDM(Wavelet Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用しています。周波数利用効率が高いOFDM方式において、各サブキャリアの直交化にWavelet変換を適用することで、冗長信号を付与することなく各サブキャリアのサイドローブレベルを低減しています。

本方式を採用することで、深いノッチ形成と高効率伝送が可能となります。国際標準規格 IEEE 1901にも採用されている信頼性の高い技術です。

Wavelet OFDM方式の特長

Wavelet OFDM方式の主な特長は以下になります。

  • FFT(Fast Fourier Transform)ベースのOFDM方式で遅延波を吸収するために挿入されるガードインターバル(Guard Interval)をWavelet OFDM方式では必要としないため、データ部の占める割合を増やすことが可能です。
  • 各サブキャリアを帯域制限し、第一サイドローブが十分低いレベルになっているため、少なくとも任意の2本のサブキャリアを不使用とすることで35dBのスペクトルノッチを容易に形成可能です(図1)。したがって、同じ短波帯を使用する既存システムへの干渉を抑え、国および地域毎の周波数利用規制に柔軟に対応可能です。また、既存システムからの狭帯域干渉が存在する場合、その影響を数本のサブキャリアのみに抑えることが可能であり、キャリア間干渉(Inter-Carrier Interference)も低く抑えることができます。
  • サブキャリア毎の変調方式にパルス振幅変調(Pulse-Amplitude Modulation)を採用し、伝送路の状態に合わせて最適な変調多値数(2PAM~32PAM)を設定することで、高効率な伝送が可能です。

図1. Wavelet OFDMとFFT OFDMのスペクトル比較

3. NessumのMAC層について

Nessumでは、Masterがビーコンフレームと呼ばれる制御フレームをネットワーク内の全端末へ定期的にブロードキャストする方式を採用しており、QoS(Quality of Service)など各種制御のための管理を行っています。

アクセス制御には、CMSA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance)とDVTP(Dynamic Virtual Token Passing)を用いており、独自方式であるDVTPでは、MasterがTerminalへ動的に送信権を付与することで、パケットの衝突が発生しないアクセスを実現しています(最大16台)。

また、伝送効率を高めるサブフレーム連結機能や暗号鍵の定期的な更新機能も搭載しています。

4. 通信性能の向上を実現する技術

Nessumは当初、伝送路環境が特に劣悪な電力線伝送路向けに開発が行われ、そのような環境においても高速かつ安定した通信を行うためのさまざまな技術を保有しています。

以下に、その代表的な技術を紹介します。

誤り訂正技術

誤り訂正としては、リードソロモン符号(Reed Solomon)、畳み込み符号(Convolutional Code)、およびその連接符号(RS-CC)に対応しながら、オプションで誤り訂正能力の高いLDPC-CC(Low-Density Parity-Check Convolutional Codes)にも対応し、伝送効率低下の影響を抑えつつ、強固な通信を可能としています。

ダイバーシティ伝送技術

同じデータを複数本のサブキャリアに載せて伝送することで、外乱への耐性を強化しています。連接符号(リードソロモン符号+畳み込み符号)と2PAMの組合せを基本とした上で、LDPC-CCおよび4PAMを使用し高速化に対応したモードも備えています。

伝送路推定技術

伝送路のS/N比(信号対雑音比)に応じて、サブキャリア毎の情報量を最適化して伝送することが可能です。伝送路のインピーダンスやノイズレベルが変動する伝送路では、サブキャリア毎の情報量を再構築する必要があるため、伝送路の変動を検出するためのパラメータを用意し、それらを監視しながら適切なタイミングで伝送路推定を行います。

5. 高度なセキュリティ

安心・安全な通信インフラを提供するため、Nessumの高度なセキュリティを実現する技術を以下に紹介します。

データの暗号化

Nessumでは、無線LANと同じAES方式(AES 128bit)を用いてデータの暗号化を行っています。

トーンマップ生成機能

Nessumでは、前述の伝送路推定機能がセキュリティの強化にも寄与しています。

伝送路推定機能では、通信を行う前に伝送路の周波数特性を測定し、その結果に応じて各サブキャリアに情報(ビット)を配置したトーンマップ(図2)を生成します。このトーンマップは、通信相手ごとに異なるマップとなり、端末間でこの情報を交換・共有することで双方向の通信が可能となります。

伝送路の状態は各端末間で異なるため、そこで生成されるトーンマップも異なります。したがって、悪意を持った第三者がネットワーク内の端末に成りすまして侵入することが非常に困難となりますので、高いセキュリティを持つことになります。

トーンマップ

図2. トーンマップの例

動的鍵更新機能

Nessumでは、Masterがデータ暗号化用の鍵を管理し、認証に成功したTerminalに鍵を配布します。認証後も定期的な鍵の更新・配布を行うことで、鍵情報の流出による第三者の侵入リスクを低減しています。

6. ネットワークの接続形態

コンプリート(Complete)とマルチホップ(Multi-hop)

Nessumのネットワークの接続形態(トポロジー)には、コンプリート(Complete)とマルチホップ(Multi-hop)の2種類があります。

コンプリート

コンプリート

各端末が1対1で直接通信を行います(1ホップ)。1台のMasterに最大128台のTerminalを接続可能で、最大16台までのTerminalに対してパケット衝突回避機能(DVTP)を適用可能です。

マルチホップ

マルチホップ

各端末がデータを順次中継することで(最大10ホップ)、Masterと直接通信ができない環境でも通信が可能です。1台のMasterに最大1024台のTerminalを接続可能なため、大規模ネットワークを構築できます。

マルチホップによるネットワーク構築

特にBtoBの用途では、ビルや工場などの大規模な建屋において、長距離かつ広範囲のネットワークを構築する必要があります。Nessumのマルチホップ技術では、データを順次中継することで、Masterと直接通信ができない環境でも通信することが可能です(図3)。

最大10ホップで数kmの伝送が可能であり、台数についても、1台のMasterで最大1024台のTerminalを管理可能なため、建屋全体をカバーするような広範囲のネットワークを構築できます。

さらに、概ね30秒毎に各端末間の通信状態をチェックし、常に最適な経路を選択していますので、一時的にどこかの経路が使えなくなったとしても、他の経路を使ってデータを送ることが可能です。


マルチホップ伝送

図3. マルチホップによるネットワーク構築

7. 簡単設定と簡易通信速度測定

Nessumは、ユーザーによる認証情報の入力が不要で、端末の登録・認証が可能となる簡単設定の機能を備えています。加えて、端末間の通信状態を簡易的に把握することも可能です。予め設定したトリガ(例:アダプターのSET UPボタンの押下)により、MasterとTerminalの間で通信速度を測定し、結果をLED等で表示します。

※簡易通信速度測定の仕様は製品により異なります。

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