Nessumは、国際標準規格であるIEEE 1901シリーズに対応しており、有線・無線や水中などのさまざまな通信媒体で長距離有線通信や近距離高速無線通信が可能です。さらには、有線と無線のハイブリッド通信を一つのデバイスで実現可能です。
有線通信としてのNessum WIREと近距離無線通信としてのNessum AIRで、ネットワーク構築のさまざまな課題を解決し、あらゆるものがつながるIoT社会を実現します。
下図のように、建物内外には専用線や同軸線、電力線など、さまざまな用途に用いられる配線が存在します。Nessum WIREは、これらの既設配線をそのまま通信に活用することが可能です。通信用ケーブルの新規配線が不要となり、短工期・低コストでのネットワーク構築が可能となります。
ビル、工場などの大規模な施設やスマートメーターにおいても複数の子機を中継する「マルチホップ」機能により数kmの通信が可能※となります。
※通信距離は使用環境によって異なります。
トンネルや地下施設などの閉鎖空間では無線が届きにくいという課題があります。Nessum WIREを使えば、既設線を活用することで、これらの場所でも通信が可能になります。
既設の配線(専用線や電力線)を活用することで、新たなLANケーブルを敷設する手間を軽減。これにより、工期も短縮することができ低コストでネットワーク構築が可能になります。
IoT活用の加速に備えて高速化ニーズが高まる「RS485 Modbus」「低速PLC」「HBS(IEBus)」などの通信規格。Nessum WIREを導入することで、これらの配線はそのままでMbpsオーダーの高速通信が可能になります。
有線による物理的な接続と、通信データの暗号化及び30秒以内に最適な変調を見直すことで高いセキュリティを実現。情報漏洩やサイバー攻撃の危険性が軽減。セキュリティの問題で無線を禁止している施設でのネットワーク構築が可能になります。
複数の制御線や信号線をまとめることで、配線数を減らすことができます。これにより、断線リスク・故障率の低減、軽量化、製造のリードタイムの削減、エレベーターなどの定期点検の時間を短縮することができます。
下図のようなeモビリティ給電管理システムの場合、複数の車両が近接して配置されるため、電波干渉による車両の誤検出やセキュリティ面での問題が発生することがあります。Nessum AIRは、送信電力およびアンテナのサイズ・形状を調整することで、通信可能な範囲を的確に制限しながら高速通信が可能です。隣接機器との電波干渉も軽減し、高いセキュリティを実現します。
送信電力とアンテナサイズ・形状で伝送距離を制御することで、通信範囲を数cm〜100cmでコントロール可能。さまざまな利用シーンで干渉のない通信環境を実現します。
周波数利用効率の高いWavelet-OFDMにより通信速度の向上を実現。最大PHY速度は、動画もスムーズに送れる1Gbps※。
※規格理論値であり、サポートする最大速度は商品により異なります。
Nessumは有線通信と無線通信に同じ技術を使用しているため、それらのハイブリッド構成を容易に構築することが可能です。一つの通信用デバイスで両者をカバーできるため、低コストでの実現が可能となります。
一つの例として工場のスマート化を想定した場合、既設のツイストペア線や電力線を活用し、Nessum WIREでネットワークを構築することで、設備の制御や稼働データの収集、ネットワークカメラでの遠隔監視などが可能となります。加えて、工場内を移動する搬送ロボット(AGV)と充電ドックの間をNessum AIRで接続し、充電ドック側はNessum WIREで基幹ネットワークにもつなげることで、多台数の搬送ロボットの充電制御や位置検出などが可能になります。
有線と無線のハイブリッドネットワークにより、本技術の幅広い活用が期待されます。
既設の配線を利用して通信を可能にするNessum WIREは、家の中で増え続けるIoT機器に加え、HEMSもネットワーク化可能。快適なくらしとエネルギー消費の効率化に貢献します。
既設の配線を利用して通信を可能にするNessum WIREは、エレベーターやHVAC、監視カメラシステムなどの機器をネットワーク化可能。総合的なビルマネジメントに貢献します。
長距離通信ができるNessum WIREは、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーを使ったスマートグリッドを構築可能。街のエネルギー需給のスマート化に貢献します。
工場、海中、地下トンネルなど、これまで通信が難しかった現場をNessum WIRE / AIRを活用することでネットワーク化可能。生産性、安全性の向上に貢献します。
Nessum WIRE/AIRを活用し、街灯や信号機、ガードレールなどさまざまな道路のインフラをネットワーク化可能。安全でスムーズな道路交通に貢献します。
Nessumに関連する製品は以下の2つのカテゴリに分けることができます。
開発・評価キットには、性能検証用のボードやリファレンス回路、ソースコードなどが含まれます。
半導体IPコアには、Nessum通信のPHY、MAC、およびファームウェア(サンプルアプリケーションを含む)などが含まれます。
アダプターには、ツイストペア線や同軸線、電力線など、各種ケーブルに対応した製品があります。また、EthernetやRS485など、さまざまな機器と接続可能な入出力のポートも備えています。
また、上記以外にも設計開発や現場での設置に役立つ測定器や治具などもあります。
IoT/DX/GX時代を迎え、ビル・工場のほか、地下空間やトンネル、船舶内での通信など、従来通信環境の構築が困難であった場所でもネットワーク化が必要とされています。建物全体のエネルギーマネジメントや遠隔監視によるセキュリティ、設備保全などの需要が高まっており、その実現のため多数の機器やデバイスをインターネットに接続し、様々な付加価値やサービスを創出することが期待されています。
Nessumは、既設のケーブルを利用する長距離有線通信と的確に通信範囲を制御する近距離高速無線通信、さらには通信パケットを多段に中継するマルチホップ機能を柔軟に組み合わせることで、他の通信方式とも共存しながら社会のネットワークインフラを構築する技術として重要な役割を担っています。
Smart Home、Smart Building、Smart Energy、Smart Industry、Smart City & Mobilityのさまざまなシーンで活用可能な技術として、Nessumアライアンスは本技術の普及拡大に努め、一人ひとりの快適な生活の実現に貢献してまいります。