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HD-PLCアライアンス(*2) (以下、アライアンス)は、(一社)日本船舶電装協会(*3)(以下、協会)が主催した2022年度(令和4年度)調査研究事業((公財)日本財団助成事業)である「新しい船内通信環境の構築に関わる電装工事の調査研究事業」に参画し、同協会の研究成果として鋼船における通信ネットワーク利用(運航制御系を除く)として高速電力線通信HD-PLC (以下、HD-PLC)の有益性が実証されたと発表しました。
同協会の研究事業の要旨は、船内の要目毎に高度化する有線・無線通信技術の利害得失を整理し、インターネット接続など船内通信の環境構築手法として高速電力線通信(以下、高速PLC)を重視しつつ他通信方式を併用した試設計及び実船内での高速PLCの通信評価を行いその実装方法や留意点を報告書にまとめ電装事業者、内航船及び漁船所有者、造船所、関係機関等に配布共有することで、パソコンやスマホ利用によるネット接続で乗組員や乗客の快適な船内生活の実現を図るとともに、若年層の乗組員の就労増加に貢献することにより、海事産業の健全な発展に資することにあります。
また、同協会が高速PLCに着目した背景としては、鋼板によって仕切られた船室間通信の課題(無線LANなど電波が通過しにくい環境下のネットワーク構築など)解決策として既設電力線を利用した通信への期待、並びに高速PLCが、鋼船内で新たに利用可能(単相/三相交流600V以下及び直流:総務省電波法施行規則省令改正2021年6月30日施行)(*4)となったこと等が挙げられます。
高速PLCの具体的な評価内容としては、HD-PLCマルチホップ(*5)(以下、マルチホップ)と他通信方式とを併せ標準的な船型(内航貨物船、漁船、旅客船)による通信環境構築の試設計が行われ、それぞれの実装コスト等が整理されました。更にマルチホップの通信評価として係留中の鋼船内で実施され、評価方法としては、各甲板の船室間を照明系統の電源コンセントに接続されたそれぞれのマルチホップ機器間で配電盤や分電盤を経由した通信速度の評価が行われました。更にインターネットのSNSや動画再生、ネットワークカメラの動画再生等も評価されいずれも実使用上の有益性が実証されました。
当アライアンスは、これらの実証結果を船舶業界に広く周知を図るとともに、これまで船舶業界が抱えていた船内通信環境の課題解決に向け積極的に協力し船舶業界の発展に貢献していくとともに、HD-PLCがIoT時代に適応した国際標準高速電力線通信技術として船舶業界のみならず、社会インフラ、集合ビル、商業店舗、スマートシティ、スマートグリッド、スマートホーム等、グローバルな観点から各業界の通信課題の解決に向け継続して取り組んでまいります。
尚、当アライアンスから本研究事業に参加した会員企業は、以下の通りです。
・参加代表:当アライアンス技術WG/認証TG
・オブザーバー参加企業:
東朋テクノロジー(株)、(株)シキノハイテック、(株)ユビキタスAI、
パナソニック ホールディングス(株)、(株)ヘルヴェチア、 富士電機(株)、
(株)メガチップス、(株)ソシオネクスト
(注釈)
High Definition Power Line Communicationの略で、高速電力線通信技術の一つであり国際標準規格IEEE 1901として認定された通信技術(HD-PLC™およびHD-PLC™マークは、パナソニック ホールディングス株式会社の日本、その他の国における登録商標または商標)https://jp.hd-plc.org/hd-plc/what/
高速電力線通信HD-PLCの普及拡大・通信互換性確保を目的として、2007年9月25日に設立 https://jp.hd-plc.org/
電波法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年総務省令第65号)(施行日R3年6月30日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000757377.pdf を参照ください。
データを順次中継することで1対1では届かない場所にある端末と通信可能
(最大10ホップ、数kmの伝送が可能)https://jp.hd-plc.org/hd-plc/technology/
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